高齢者の嚥下機能低下は理学療法士や作業療法士こそ考えるべき
高齢者の健康維持において、嚥下機能の低下は避けて通れない重要なテーマです。 嚥下機能は、食べ物や液体を飲み込むための複雑な動作であり、 正常な嚥下機能は健康的な食事摂取と栄養吸収の鍵を担います。 しかし、高齢者においては嚥下機能が低下することがあり、これに伴うリスクが健康や生活に及ぼす影響は深刻です。 その嚥下機能を評価するのは言語聴覚士だけではありません。我々理学療法士や作業療法士も同様に関わっていかなければいけません。 その理由について今日は解説します。 理学療法士や作業療法士が嚥下機能評価にかかわるべき理由とは? 高齢者の嚥下機能低下は、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。 まず、嚥下困難や誤嚥が起こることで、肺炎や呼吸器感染症のリスクが増加します。 これは、高齢者の免疫機能が低下しているため、重篤な合併症を引き起こす可能性が高いです。 さらに、嚥下機能低下は栄養状態にも影響を及ぼします。 食事の嚥下が難しくなると、栄養摂取量が減少し、栄養不良や体重減少のリスクが高まります。 これにより体力の低下や免疫力の低下が進み、健康問題が悪化する可能性があります。 こうした問題を未然に防ぐために、高齢者の嚥下機能低下を予防する取り組みが重要ですが、言語聴覚士だけでは手が足りていないのが現状です。 理学療法士や作業療法士ができる嚥下機能の評価とは? 我々理学療法士や作業療法士が嚥下機能低下の予防に取り組む際、特に大切なのは次の3つのポイントです。 1. 早期の評価とスクリーニング 高齢者の嚥下機能には個人差が大きく、しかも自覚症状が軽い場合は見過ごされやすいものです。そのため、早い段階で評価やスクリーニングを行い、変化を見逃さないことが重要です。簡単なスクリーニングであれば、言語聴覚士でなくても理学療法士・作業療法士が実施できるものがあります。 2. リハビリテーションの実施 嚥下機能が低下した場合、筋力トレーニングや口腔筋のエクササイズといったリハビリが有効です。これにより口腔や咽頭の筋肉を強化し、嚥下の改善が期待できます。実施にあたっては、言語聴覚士と情報を共有し、協力しながら進めることでより効果的な支援につながります。 3. 栄養の最適化 嚥下機能の維持には、栄養バランスの整った食事も欠かせません。特にたんぱく質・ビタミン・ミネラルの摂取を意識し、適切な栄養状態を保つことが大切です。リハビリ職種にも、こうした栄養状態を正しく評価する視点と技術が求められています。 高齢者の嚥下機能低下を予防することは、健康寿命の延伸や生活の質の向上に直結する大切な取り組みです。...
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