注意障害を呈する患者へのリハビリアプローチ|集中力を引き出す評価と介入のコツ
臨床の中で注意障害を呈する患者様は少なくありません。
こうした患者様のリハビリを進めるうえで、なかなか集中してリハビリが進められないと悩む方も多いのではないでしょうか?
私自身も患者様のリハビリを進めるうえで、注意障害を呈する患者様のリハビリは難しいと感じています。
特に、
- 病的な状態に本人が気付いていない
- 指示の伝え方が難しい
- 課題が長続きしない
こうした悩みを持っている方は多いのではないかなと感じております。
今日はこうしたことについて解説します。
高次脳機能障害を呈する患者は急性期脳卒中の80%
急性期脳卒中後には約80%の方が何らかの高次脳機能障害を呈すると言われています。
急性期リハビリテーションでは脳卒中に限らず、
低酸素脳症や脳症など脳器質病変を伴う疾患を目にする機会も多いのではないでしょうか?
こうした症例のリハビリについては様々な環境調整を考えて対応しなければいけません。
なかなか集中して取り組めないという患者様もおられるでしょう。
その場合あなたはどのような工夫をして対応していますか?
注意障害を呈する患者様は多いと知っていますか?
高次脳機能障害の中でも、注意障害は約30%という高い割合で出現します。
注意障害とは、様々な機能にかかわる基本的機能である注意が障害された状態です。
注意の中でも分類があり、それらが複雑に組み合わさります。
また、重症度によって出現する症状は様々です。
そのため、注意障害を呈する患者様のリハビリの方法を学ぶことはとても重要になります。
- どの程度の残存能力があるのか?
- 現状の課題はどの程度できるのか?
- 課題のどこに、どんな風につまずくのか?
こうしたことをきちんと考え、対応方法を学ぶことが必要になります。
注意障害を呈する患者様のリハビリは環境調整が重要
注意障害を持つ患者様のリハビリにおいて、
環境の整備は非常に重要な要素です。
まず、静かな空間を確保する必要があります。外部からの雑音や視覚的な刺激を減らすため、リハビリを行う環境はできるだけシンプルに保つことが望ましいです。
また、照明も工夫が必要です。明るすぎる光やちらつく光は注意を妨げることがあるため、柔らかい間接照明を使用することで安心感を与えることができます。
さらに、視覚的な手がかりを用いることも効果的です。
訓練に必要な道具や資料は整理整頓し、見やすい場所に配置します。
色分けやラベルを活用することで、必要なものをすぐに見つけられるようにすることも大切です。
また、注意を集中させるために、リハビリの際には視覚や聴覚の刺激を最小限に抑え、シンプルなタスクを設定します。
こうした環境に配慮してリハビリを進めることが注意障害の患者様には重要になります。
注意障害を呈する脳血管疾患のリハビリの注意点とは?
例えば、物事に集中できずに作業効率が下がったり、
会話の流れを把握できなくなったりと、社会生活に支障をきたす症状として注意障害の理解は欠かせません。
脳血管疾患においてこうした症状を呈する患者様は多く、
リハビリ現場や日常生活の中で様々な問題を呈します。
だからこそリハビリを積極的に行いながら自分の現状を理解することに努め、
脳の可塑性を活用し、注意力や集中力の向上を目指します。
具体的には、注意力を要する課題に取り組むことで、徐々に注意力を高めていきます。
その際に我々が注意しておかなければいけないのは、患者様のリハビリにおける環境設定です。
例えば周りに注意が散漫してしまう状況にあるのに、
日常会話が飛び交うような場面でのリハビリを提供してしまうと
患者様は集中してリハビリを行うことができません。
だからこそ我々は環境にこだわり、患者様のリハビリを提供していく必要があります。
作業活動は一つ一つ作業していくことが重要
作業活動を一つ一つ丁寧に進めていくことが重要な理由は、効率性と正確性を確保するためです。
複数の作業を同時に行おうとすると、注意が分散してミスが生じやすくなります。
一方で、作業を一つずつ行えば集中力を保ちやすく、内容を正確に把握しながら進めることができます。また、段階的に作業を終えることで達成感が得られ、モチベーションの維持にもつながります。
さらに、作業の進捗状況を明確に把握できるため、計画通りに物事を進めやすくなり、必要に応じて柔軟な対応も可能になります。
特にチームでの作業では、一つの工程が次の工程に影響を及ぼすことが多いため、順序を守り確実に進めることが全体の品質向上につながります。
このように、作業活動を一つ一つ丁寧に行うことは、成果の質を高め、効率的かつ安定した結果を生むために欠かせません。
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脳科学的視点から学ぶ高次脳機能障害|全般性注意障害、遂行機能障害編
講師:宮内 貴之 先生
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