片足立ちは本当に必要?歩行と日常生活を支えるリハビリの重要性
歩行練習を進めるうえで、「片足立ち」のトレーニングは欠かせない課題の一つです。
歩行中は片足で身体を支える時間が繰り返されるため、この能力が十分でなければ安定した歩行を獲得することは難しくなります。
そのため、脳卒中片麻痺患者様だけでなく、高齢者のリハビリテーションにおいても片足立ちの練習は重要な意味を持っています。
しかし、リハビリ中に患者様から「日常生活で片足立ちなんてする機会はありませんよ」と言われた経験はないでしょうか。
そのような質問を受けたとき、皆さんはどのように説明していますか?
実は、私たちは意識していないだけで、日常生活の中で何度も片足立ちを繰り返しています。
歩行はもちろん、階段昇降や方向転換、ズボンを履くとき、靴下を履くとき、浴槽をまたぐときなど、多くの動作で一時的に片足で身体を支える場面があります。
つまり、片足立ちの練習は「片足で立つこと」が目的ではなく、安全で効率的な日常生活動作を獲得するための基礎能力を高めることが目的なのです。
今回は、なぜ片足立ちが歩行やADLの改善につながるのか、その臨床的な意義について考えていきたいと思います。
なぜ片足立ちが必要なのか?高齢者のバランス能力の低下の理由

片足立ちの練習はなぜ必要なのか?
それは高齢者になればなるほど、片足で自分の身体を支える能力が低下してくるからです。
片足立ちは支持脚への十分な体重移動と共に、
その体重を支える筋力や足底の指の働きが重要になります。
しかしながら高齢者は筋力低下や足部環境の変化などによって
うまく自分の身体を支えられず、ワイドベースになって体を支えているということが良くあります。
こうした環境であると、左右への重心移動が増強した場合、
バランスを崩して転倒してしまうということが少なくありません。
そのため片足立ちで自分の身体を支える能力を再獲得する必要があるのです。
片足立ちのリハビリはどのように進めていくべきなのか?

とはいえ、高齢者の方々に片足立ちを単純に促していけばいいというわけではありません。
まずは安全な環境を確保して、安定した場所での片足立ちを中心に練習していくということが重要です。
どのような患者様においても不安感を抱えた状態では患者様はリハビリに対してネガティブな感情を抱えてしまいます。
そのため極力安全、安心した環境でのリハビリを進めていくべきなのです。
どのような形でリハビリを進めるかということも大切ですが、
どのような環境でリハビリを進めていくべきかも考えてリハビリを進めていきたいですね。
片足立ちのリハビリは体性感覚フィードバックをしっかり促そう
脳卒中片麻痺患者様の片足立ち能力を改善するためには、
筋力を強化するだけでは十分とはいえません。
安定した片足立ちを獲得するためには、自身の身体が空間の中でどのような位置にあるのかを正しく認識し、
その情報をもとに姿勢を調整する「体性感覚フィードバック」が欠かせません。
体性感覚には、足底からの触覚や圧覚、足関節・膝関節・股関節の関節位置覚、筋肉や腱から得られる深部感覚などが含まれます。
これらの情報は、中枢神経へ絶えず送られ、重心位置の変化を検出しながら姿勢を微調整する役割を担っています。
しかし、脳卒中後にはこれらの感覚情報の入力や統合が障害されることが多く、
患者様は麻痺側へ十分に荷重しているつもりでも、
実際には健側へ大きく偏っていることが少なくありません。
その状態で筋力トレーニングだけを繰り返しても、
誤った姿勢戦略が学習され、片足立ち能力の改善につながりにくい場合があります。
そのため、リハビリでは「正しい感覚を入力すること」を意識した介入が重要です。
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講師:生野 達也 先生
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