作業療法士必見|上肢の動きに下肢の支持性は必須です

脳血管疾患のリハビリにおいて、上肢機能の改善は日常生活動作の質を大きく左右する重要な要素です。

食事や更衣、整容といった基本動作の多くは上肢に依存しており、その回復は患者の自立度に直結します。

しかし臨床では、「上肢の機能改善=肩関節や手指のトレーニング」と捉えられがちであり、局所的なアプローチに終始してしまうケースも少なくありません。

本来、上肢を持ち上げるというシンプルな動作一つをとっても、そこには体幹の安定性や下肢の支持性といった全身的な要素が密接に関わっています。

特に座位姿勢においては、骨盤や下肢でしっかりと支持基底面を確保できているかどうかが、上肢の自由度や運動の質を大きく左右します。

こうした理由から歩行動作にもつながってきます。

それにもかかわらず、上肢と下肢を分離して考えてしまうことで、本来得られるはずの運動連鎖を見落としてしまっている可能性があります。

本記事では、上肢機能を単独で捉えるのではなく、下肢や体幹とのつながりの中で再考し、より効果的な臨床アプローチについて考えていきます。

 

上肢のリーチ動作の際に下肢の支持性はどう働くのか?

上肢を持ち上げ前方にリーチする動作は、物を把持する動作においてとても重要な役割を担います。

 

この把持動作とは、目と手の協調性について着目する必要があります。

自分の体と物体との距離感を図り、

その対象物に手を伸ばすことや対象物をつかむときの

手の協調的な働きについて考える必要があります。

 

そこには感覚入力だけでなく

知覚や認知、活動など複合的に考える必要があります。

 

脳卒中片麻痺のリハビリにおいて、

環境の中で効果的に行動する能力を獲得するためには、

このリーチ動作と把持動作の獲得が必要不可欠になります。

 

その時には体幹の働きだけでなく、下肢の支持性についてもトータル的に考える必要があります。

上肢だけを見ていませんか?運動発達理論から再考する臨床アプローチ

 

運動発達の視点から臨床を見直すと、上肢機能がうまく発揮されない背景には「順序の崩れ」があることが見えてきます。

本来、運動は頭尾側・近位遠位といった発達の流れに沿い、粗大運動から巧緻運動へと段階的に成立します。

しかし臨床では、体幹や下肢の支持性が不十分なまま、手指の操作や上肢の挙上といった末梢の課題に介入してしまうことも少なくありません。

神経科学的に見ても、姿勢制御は脊髄・脳幹・大脳の階層的な働きによって支えられ、APAのような予測的制御や体性感覚のフィードバックが統合されることで初めて安定した運動が可能となります。

つまり、上肢機能の改善には局所的な訓練だけでなく、こうした全身的な制御機構を踏まえた評価と介入が不可欠です。

どのレベルで破綻しているのかを見極め、適切な順序で再構築していくことが、臨床の質を高める鍵となります。

 

神経科学に基づく上肢機能と運動発達理論||一括申込

講師:今村 泰丈 先生(Studio-Roots-MORIOKA代表 / 作業療法士)

 

 

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