なぜ患者様は自主トレーニングの継続が難しいのか?
患者様のリハビリを担当しているときに、特に難しいと感じるのが「自主トレを継続していただくこと」です。
多くの患者様は、リハビリの延長として自宅でもトレーニングを続ける必要性を理解してくださっています。
しかし、実際に継続できる方は少なく、「わかっていてもできない」という声をよく耳にします。
正直なところ、私自身も継続することは得意ではありません。
日常の中で意識して何かを続けるというのは、簡単なようでとても難しいことです。
そんな中で、私なりに少しずつ見つけてきた「続けるためのコツ」があります。
それは、“やる理由”を明確にすること、そして“小さな目標”を設定して成功体験を積み重ねることです。
今回は、そんな私の工夫を少しご紹介したいと思います。
自主トレはなぜ継続するのが難しいのか
これはリハビリの現場でよく直面する悩みです。何事もそうですが、続けるという行為は思っている以上に難しいものです。
特に、相手に「やってください」と伝え、それを実行してもらうことは、言葉以上にハードルが高いと感じます。
たとえば、あなたがYouTubeのショート動画を毎日アップすると決めたとしましょう。
最初はやる気があっても、少し面倒に感じる日が出てきます。そして、「今日くらい休んでもいいかな」と思うようになる。
これは患者様にも同じことが起こります。
「一日くらいサボっても…」という気持ちは自然なことです。
しかし、それが続くと結局やらなくなってしまうのです。
これはダイエットが続かない理由にも似ています。
やるべきことのハードルが高ければ高いほど、人はそこから遠ざかってしまう傾向があるのです。
自主トレが継続できない大きな理由の一つに、「課題の難易度が高すぎる」ことが挙げられます。
たとえば、「毎日腕立て、腹筋、背筋、スクワットを各30回やる」と決めると、最初は意気込んでいても徐々に面倒に感じてしまいます。
そして結局、やらなくなるのです。
ですから、もし患者様に自主トレを継続してほしいと思うなら、まずは“とても簡単なこと”から始めることが大切です。
「今日は座って足を5回動かすだけでOK」というように、小さな成功体験を積み重ねることで、継続のハードルを下げることができます。それが結果的に、長く続けるための土台となるのです。
自主トレを続けてほしいなら一緒にやってみよう
自主トレーニングは、頭では「やったほうがいい」とわかっていても、一人ではなかなか継続できないものです。
けれど、誰かが隣で一緒にやってくれたり、声をかけてくれたりすると、不思議とやる気が出てきて、続けられることってありますよね。
実は、ここに大きなヒントがあると私は思っています。
つまり、自主トレを継続させるには、「孤独にさせないこと」がとても大切なのです。
患者様自身に任せきりにするのではなく、こちら側が日々どれだけ気を配れるか、そして寄り添えるかが、継続のカギになると感じています。
よく「自主トレやりましたか?」と確認する場面がありますが、この言葉には少し“監視”のような響きがあります。
それよりも、「今から一緒に自主トレやりませんか?私も一緒にやりますよ」といった声かけの方が、患者様にとってはずっと前向きに受け取ってもらえるのではないでしょうか。
自主トレを指導するという立場ではなく、まずは共にやるというスタンスで関わることが、信頼関係を築くうえでも非常に大切です。患者様に行動を起こしてもらうには、まずはこちらがその一歩を見せることが必要なのです。
実際、私自身も「一緒にやりましょう」というスタイルで関わるようになってから、患者様の表情や意欲に変化が見られるようになりました。これは大きな手応えでした。
現在、こうした「患者様の自主トレ継続支援」をテーマにしたセミナーも開催しています。ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。継続のヒントや関わり方の工夫を、現場視点でお伝えしています。

講師:荒木 茂 先生
(PTオフィス荒木 / 理学療法士)
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