筋緊張を考えるならその原因となる姿勢を徹底評価しよう
患者様の姿勢アライメントを評価することは、多くのセラピストが日常的に行っていると思います。
しかし、実際にその評価結果をもとにどのように姿勢を修正していけば良いのか、具体的な調整方法に迷った経験はないでしょうか。
私自身も、臨床で患者様の姿勢をどのように捉え、どのポイントを改善していくべきか悩んだ時期がありました。
そんなときに役立ったのが「マッスルインバランス」という考え方です。
この理論を知ることで、筋肉の過緊張や弱化の関係性を理解でき、姿勢の崩れの根本原因を探るヒントになります。
痛みのある部位だけを追うのではなく、全身の筋バランスを考慮した評価と治療が重要です。
今回は、マッスルインバランスを踏まえた姿勢評価と調整の考え方についてお話ししたいと思います。
姿勢アライメント異常をチェックするために必要なマッスルインバランスとは?
あなたはマッスルインバランスという考え方をご存じでしょうか。
これは、姿勢の崩れや誤った運動パターンによって、一部の筋肉が必要以上に使われることで緊張が高まり、筋肉が短縮する状態を指します。
過剰に働いてしまった筋肉は硬くなり、逆にその拮抗筋は相反抑制と呼ばれる作用によって活動が低下し、弱くなってしまいます。
このようにして筋肉のバランスが崩れた状態が続くと、身体の特定部位に余計な物理的ストレスがかかり、痛みを引き起こす原因となるのです。
つまり、痛みを訴える部位だけを治療しても、根本的な原因が解決されていなければ、同じ症状を繰り返す可能性があります。
本当に重要なのは、痛みを生じさせている背景にどのような筋肉のアンバランスや不良な動作パターンが隠れているのかを、評価によって正確に見極めることです。
その上で、硬くなった筋肉を適切に緩め、弱くなった筋肉を強化し、全体の筋バランスを整えることが再発を防ぐ鍵となります。
痛みの部位だけにとらわれず、体全体の動きや姿勢を総合的に捉えたアプローチを実践することが、症状の根本改善につながるのです。
変形性膝関節症はなぜ姿勢アライメントの変化が原因でできるのか?
変形性膝関節症が姿勢アライメントの崩れによって出現するというのは皆さんもご存じだと思います。
その原因のキーワードは「運動連鎖」ではないでしょうか?
例えばhip spine syndromeという病態は皆さんも知っていると思います。
つまり股関節や脊柱が正常なアライメントを呈しておらず、様々な部分で問題が出現するということですね。
例えば骨盤が後傾位になっているとしましょう。
そうした患者様の股関節は外旋方向になりますし、股関節が立位姿勢で外旋位になれば、膝関節は内反してしまいます。
足部は膝の内反の影響で縦アーチが崩れてしまい、膝関節に正しい荷重連鎖が起こらず負担が増えてしまうという問題につながります。
こうした運動連鎖が出現すると、変形性膝関節症だけでなく、
頭頚部にも問題が出現するという状態にもなりますし、
身体の各部分に問題が出現してしまうのです。
つまり変形性膝関節症といった病態は姿勢アライメントの異常によって起こりますので、
全身を診て評価しなければいけないのです。
こうした評価、治療技術をぜひ身に着けていくようにしたいですね。
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講師:荒木 茂 先生
(PTオフィス荒木 / 理学療法士)