トリガーポイントの基礎理論|治療技術と理論#977
波田野 征美 先生
理学療法士 / Mr.コリとる院長 / Oriental Physio Academy 代表
臨床で最も頻繁に遭遇する疼痛疾患はなんだか知っていますか?
それは筋筋膜性疼痛症候群(MPS)です
・肩が痛くて腕が上がらない
・ぎっくり腰になって動けなくなってしまった
・坐骨神経痛が辛い
・膝が痛くて階段の昇り降りができない
こんな患者様はたくさんいると思います。
このような方達は肩であれば「肩関節周囲炎(五十肩)」
腰であれば「腰椎椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」
膝であれば「変形性膝関節症」
といった診断名が付けられるでしょう。
診断名がついて、レントゲンやMRIで関節や神経に異常所見があったとしても
痛みやしびれが必ずしも関節や神経が起こしているとは限りません。
あなたにも思い当たることがありませんか?
画像所見で見つかった異常所見の部位と
実際に表れている症状の辻褄が合わないなんてことは多々あります。
また、整形外科テストをしても陽性反応が出てこないなんてことも多いはず。
そのような場合は筋筋膜性疼痛症候群を疑うべきですし、
筋筋膜性疼痛を改善させたいのであれば本セミナーでトリガーポイント療法を学ぶことをオススメします。
トリガーポイントは痛みや痺れの原因になる
近年は筋膜が注目を集めていますが、
この筋膜には非常に多くの感覚受容器があり、
疼痛の受容器である自由神経終末もあるため、
筋膜の異常は頻繁に疼痛を引き起こします。
そして、その筋膜の異常こそがトリガーポイントなのです。
トリガーポイントとは使い過ぎによってできた筋肉の硬結(コリ)ですが、
この硬結は多種多様な症状を引き起こします。
まず代表的なものが「関連痛」です。
この関連痛は広範囲に渡って出現するので神経の圧迫による症状と誤診されたり
深部痛のことが多いため関節の痛みと誤診されることもあります。
さらに関連痛以外にも「収縮不全」も症状の1つですので
リハビリで問題になることが多い「筋力低下」も
実はトリガーポイントが原因だったなんてことも珍しくありません。
他にもトリガーポイントがある筋肉は太くなるため「神経絞扼」を引き起こし、
神経症状の原因も実はトリガーポイントが原因だったなんてこともあるのです。
そんな様々な症状を引き起こすトリガーポイントの存在を知らないなんてもったいないと思いませんか?
トリガーポイントの改善方法は圧痛点を押せばいいわけではない
トリガーポイントの治療法は対象となる筋肉を1分間ほど押すだけという非常に簡単な手技なのですが
押して痛いところ(圧痛点)を押せば良いというわけではありません。
実際に
「腰痛患者に対して圧痛点治療のグループとトリガーポイント治療のグループでの改善度を比較したところ、圧痛点治療グループでは有意な改善はみられなかったが、トリガーポイント治療グループでは有意に改善した。」
引用)慢性腰痛患者を対象としたトリガーポイント治療と圧痛点治療の比較対照試験より
という報告があるほどです。
筋筋膜系への徒手療法は大別すると「マッサージ系の手技」となるため、
否定的なセラピストもいると思いますが、
しっかりとアプローチすべきポイントに適切な刺激を与えてあげれば、
痛みや痺れはしっかりと改善させることができます。
痛みや痺れを解決することで効果的なリハビリもできるようになり、
患者様の生活はより良い者になります。
筋筋膜性疼痛をちゃんと勉強したことがないという方はまずはトリガーポイント療法から始めてみてください。
プログラム
・トリガーポイントとは
・トリガーポイントの代表的な症状
・トリガーポイントの活性要因
・トリガーポイントの治療法
・代表的なトリガーポイントの治療
