姿勢制御の理解と歩行動作の治療について#976
講師:弓岡 光徳 先生
大阪人間科学大学 理学療法学科 教授 / 理学療法士
片麻痺患者様の歩行動作だけでなく、高齢者の歩行動作においても
転倒リスクは避けられません。しかしながらその転倒リスクを以下に予防するのか、
どのようなリハビリを展開していくかに悩んでいませんか?
・患者様のバランスを高めたいけどどのように治療すればいいかわからない
・バランス能力を規定する要素って何?
・患者様の再転倒を予防したい
この悩みはこのセミナーで解決できます。
姿勢制御は脳機能を理解するところから始まる
突然ですがあなたは姿勢制御について、以下のことを理解してますか?
脳幹:脳幹は前庭核、赤核や網様体をはじめ、姿勢制御と移動に関与する重要な核群を含んでいる。
皮質脊髄路以外の全ての下行運動路は脳幹に由来する。
小脳:小脳は登上線維の誤差信号によって、間違った動作をしないように学習する働きがある。
大脳基底核:運動機能の安定化をはかっている。
大脳辺縁系:扁桃体や海馬を含む大きな構造であるが、中枢神経系の働きに生物に特有の目的性を与える構造。
〇下行性脊髄路について
外側経路:遠位筋の随意運動に関わり、大脳皮質から直接的な制御を受けている。主に独立した四肢の運動、特に指や手の運動に関与。
腹内側経路:脳幹による制御を受けていて、体幹筋の粗大な運動、姿勢や歩行に関連した体幹と肢の協調運動といった自動的な運動を制御する。
〇高次運動野について
運動前野;身体から比較的離れた視覚や聴覚などの空間感覚情報の処理を通じて運動の手順をプログラミングすることに関連する。
補足運動野: 身体に近い感覚情報(体性感覚)の処理にもとづいて運動をおこなうことに関係する。記憶と関連の深い、大脳辺縁系とのつながりも強く、記憶にもとづいて順序正しく運動することに関連している。
これらの脳機能を理解しておかないと姿勢制御は治療できません。
また、姿勢調整を支えるのはフィードバック機構とフィードフォワード機構に分かれます。
それらの機能をきちんと説明できていますか?
・姿勢制御の基礎から学びたいけど何から手を付ければいいかわからない
・体幹の評価や動作の評価が苦手だ
・どのように治療展開をしていけばいいかわからない
このように感じている人であれば、このセミナーで解決できるかもしれません。
歩行の姿勢制御は代償的姿勢制御(フィードバック系)と予測的姿勢制御(フィードフォワード系)を理解すると劇的に変化する
例えば、電車に乗って急ブレーキや急カーブのために
姿勢の崩れを調整する場合の姿勢調節は、代償的姿勢制御(フィードバック系)が働きます。
また、予測的姿勢制御(フィードフォワード系)の例としては、
肩関節屈曲の際に腹横筋は三角筋前部線維よりも前に活動することなどが挙げられます。
たとえば、端坐位での姿勢制御の戦略としては、
①頭部・体幹戦略
②上・下肢戦略
③上肢の保護伸展戦略
の3つがあります。
また、立位での姿勢制御の戦略としては、
①足関節戦略
②股関節戦略
③ステッピング戦略
の3つがあります。
これらの戦略をきちんと理解してアプローチ方法を調整していく必要があります。
本セミナーでは、座位・立位・歩行に必要な腰椎骨盤リズム、
上肢操作に必要な肩甲上腕リズム、肩甲骨セッティングなどを基礎知識として理解した上で、
体幹、肩甲帯、骨盤帯から誘導できる歩行動作などの実技をご紹介いただきます。
また、適時、姿勢制御と運動制御に関する神経機構についても触れていただきます。
プログラム
・講義:姿勢制御についての理解
・支持基底面と重心の関係からの歩行の誘導(定位と安定性)
・床反力の理解からの歩行の誘導。
・各部位からの歩行の誘導
1)肩甲帯 2)上肢 3)体幹 4)骨盤 5)大腿部 6)下腿部 7)その他
・質疑応答
