脳科学から考える痛みへのアプローチについて#936
八木 大樹 先生
パナソニックエイジフリーケアセンター京都椥辻・訪問看護ステーション / 理学療法士
痛みが揉んでも治らないのはなぜでしょう?
痛みのアプローチでこんな悩みはありませんか。
「緊張している部分を緩めても痛みが取れない」
「マッサージしても痛みが変わらない」
「今まで習ったテクニックの効果が出せない」
これらの悩みに共通していることは、痛みに対する理解が不十分であることが原因であると思います。
現在では痛みは、末梢から入力されるものではなく、中枢(=脳)で知覚されるものであるという考え方が一般的になってきています。
末梢に対するアプローチに効果がないというわけではありません。
痛みを脳から理解することによって、今持っているテクニックを生かすこともできますし、今回お伝えする「キネスティックセラピー」もより効果的に使用することができます。
脳から考える痛みへのアプローチとは?
国際疼痛学会でも2020年に痛みの定義が改定され、「組織損傷が実際に起こった時あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」 となりました。
これらのことからも、痛みは脳を考慮したアプローチが重要であることがわかります。
痛みを脳から理解していくと、アプローチの方法も変わってきます。
簡単にいうと、脳に「正しく動いている」という感覚を入力するということが重要になります。
正しく動いている感覚が入力されることによって、侵害刺激の減少や、侵害刺激が脳に入力されても、痛みとして知覚されにくくなるなど、痛みの軽減につながりやすくなると考えられます。
その正しい運動を入力するアプローチが「キネスティックセラピー」です。
キネスティックセラピーとは
キネセラは、治療アプローチではありません。
キネセラは理学療法士である「岡本徹」先生とアスウィッツが共同して開発した、徒手による施術サービスのことで、現在も美容サロンなどで用いられています。
主に姿勢改善や身体の使い方の修正によるダイエット効果や、その他の美容効果の底上げを目的に使用されています。
元々は一般の方に向けて、解剖学や運動学の知識をわかりやすく伝え、効果的に施術が行えるようにと開発されたものですが、普段私たちが行うリハビリとの親和性も高く、今まで理学療法士を始めとしたセラピストもキネセラスクールを受講しています。
キネセラにはいくつかのテクニックがありますが、主に脊柱・骨盤を対象にしたアプローチを中心に考えられています。
それは、創始者の岡本氏が長い臨床経験の中で、限られた時間の中で効果的なアプローチを行うためには「脊柱の回旋運動が最も効率よく身体にアプローチできる」という結論に至ったからです。
今回は単発のセミナーということで、キネセラの内容の一部を紹介しながら、痛みへのアプローチのヒントになるように解説していきたいと思います。
プログラム
・痛みが揉んでも治らない理由
・痛みのメカニズム
・痛みのメカニズムから考えるアプローチの方法
・キネスティックセラピー(キネセラ)とは
・キネセラのアプローチ例