膝関節屈曲制限における制限因子の推察方法と運動療法
猪田 茂生 先生
伊賀市立上野総合市民病院 リハビリテーション課 理学療法士 整形外科リハビリテーション学会 認定指導員A
膝関節の理学療法を進めていくうえで問題となりやすいのは可動域制限です。
特に変形性関節症や外傷の術後の患者様の可動域制限を最小限にとどめ、できてしまった拘縮についても確実に改善できるように治療を進めていかなければいけません。
・膝関節治療の方法がわからない
・可動域制限の問題点の見つけ方がわからない
・どのように治療を進めていくべきかわからない
このような悩みは膝関節疾患を担当していていちばん問題になることではないでしょうか?
本セミナーではこれらの悩みを解決するための糸口を見つける手助けをすることができます。
現状把握だけでよい!? 原因究明のための評価が適切な運動療法へとつながる!
関節可動域の測定方法は、養成校時代に理学療法評価法の中で習い、一生懸命練習して身につけました。
では、制限因子の見つけ方は?
どのような所見が得られたら損傷・筋攣縮・伸張障害・滑走障害が起きていると判断していますか?
これらの質問に答えを出せるでしょうか?
関節可動域運動は、理学療法士が最もよく実施する治療方法でありながら、
制限因子の見つけ方の手順をしっかり習ったという話はあまり耳にしません。
制限因子の推察方法を学ぶ機会が全くなかった学生さんや若い療法士の方々は、
病態に合わない、形だけの関節可動域運動を実施してしまい、
良くならない患者さんを目の前に、どうしてよいかわからなくて悩む結果になってしまいます。
あなたはきちんと問題点を把握し、患者様に説明をできていますか?
膝関節の関節可動域の制限因子の見つけかたをお伝えします。
治療方法を決定し、臨床における問題解決を図るためには、
角度を計測するという「現状把握のための評価」にとどまらず、
制限因子を推察するという「原因究明のための評価」が欠かせません。
「制限因子の推察方法」と言っても、知識を並べて憶測で物を言うのではなく、
臨床所見という事実を揃えて述べるということが大切です。
これは、私が知る一流の療法士の方々が、どのような手順・過程で評価を進めているかを分析しながら、
「1症例1症例を丁寧に診る」を続けてきた中で見つけた現時点での評価の基本部分です。
このセミナーでは、膝関節屈曲制限を例に挙げ、
機能解剖学的触診技術を用いて得られた臨床所見を比較・統合することで
可動域制限の原因となる「どこの組織が?」「どのような病態か?」を推察し、
病態に合った運動療法を実施できるようになることを目指しています。
初めから「上手にする」ことは難しいと思いますが、「丁寧にする」は誰でもできます。
「丁寧」は、細かいところまで注意が行き届いていることであり、相手を大切にする心から生まれます。
「患者さんを良くするために、丁寧に所見をとって原因を見つける」を実践してみませんか?
プログラム
1.関節可動域制限における原因究明のための評価の大切さ
2.膝関節屈曲制限において治療対象となりやすい組織とその病態
3.膝関節屈曲制限における制限因子の推察手順
4.症例紹介