股関節疾患術後のリハビリテーション~疾患像の理解から考える~#903
八木 大樹 先生
パナソニックエイジフリーケアセンター京都椥辻・訪問看護ステーション / 理学療法士
人工骨頭置換術と人工骨頭全置換術の違いとアプローチの変え方とは
セラピストにとって、人工骨頭置換術(以下BHA)と人工骨頭全置換術(以下THA)の術後のリハビリは、
どちらもよく担当することが多い症例の一つです。
私は特に回復期での経験が長く、BHAとTHAの術後の方のリハビリはたくさん経験させていただきました。
新人のセラピストのみなさんも、「初めて担当した患者さんは、BHAやTHAだった」なんて方が多いのではないでしょうか。
BHAとTHAは名前も似ていたり、術式にもよりますが、
脱臼肢位などの禁忌肢位のリスク管理も共通点が多いです。
そのため、ついリハビリも同じような内容になってしまうことがあります。
実は入職当初の私自身がそうで、
「とりあえず筋トレと歩行訓練」
という感じで、一種のテンプレートのようなもので介入していた時期がありました。
「決まったことをやる」というのは、必ずしも悪いことではありませんが、
BHAとTHAに関して言うと、手術の背景にある疾患像から考えるとリハビリの介入において重視するポイントが意外にも異なっていることがわかってきます。
今年度から就職された新人のセラピストの方は、
今のうちにこの二つの術後のリハビリの違いを疾患像からイメージして理解しておくと、
リハビリがスムーズに進むようになりますし、患者さんからも、「あの人はしっかりやってくれる」と信頼されるようになると思います。
逆に、今から術後のアプローチが筋トレと可動域訓練、歩行訓練だけやっておけばいいなんで考えていたら、
患者様のリハビリがうまく進みません。
疾患に対するイメージが具体的になれば、担当している人の背景に合わせたアプローチをすることが可能になります。
若手向け|症状から考える治療の分け方とは?
今回の内容は、BHAやTHAの細かい術式や、細かい解剖学的な筋の作用に関する内容というより、
「疾患像」というかなり抽象的な部分をあえて取り扱います。
もちろん、筋の細かな作用や術式に対する理解は、
リハビリをする上で最低限持っていなければいけません。
ですが、新人セラピストさんでも、学生時代に国試勉強で最低限の基礎知識を持っているはずです。
知識に終わりはありません。僕はこの4月で臨床10年目になりますが、僕自身まだまだだと思ってます。
知識の使い方を知らずに、深めることばかりに気を取られてしまうと、
いつまで経っても納得のいく効果が出せなかったり、結局いつもと同じリハビリになってしまいます。
そのため今回のセミナーでは、今ある知識を最大限に使えるようにするために、
BHAとTHAの術後の疾患像をイメージしてもらいながら、
それぞれ気をつけておかなければならない点や、評価・アプローチの際のポイントについて解説していきます。
知識は使わなければ、忘れていきます。その知識を使えるものして、
今後さらに成長していくために今回のセミナーを利用していただきたいと思います。
プログラム
・BHAとTHAのそれぞれの術式の基礎的な知識
・各術式の共通点と相違点について
・各術式ごとの背景の疾患・疾患像について
・各疾患像の特徴と、それに基づく介入時の注意点・アプローチのポイント解説
当時みなさまにお会いできることを楽しみにしています。