階段昇降につなげる上下移動動作の獲得とリハビリテーション#869
弓岡 光徳 先生
大阪人間科学大学 理学療法学科 教授 / 理学療法士
階段昇降動作の獲得に必要な運動機能を学びます
階段昇降動作の獲得には、通常歩行動作に比べて大きな関節角度が必要になります。
大きな屈曲角度の中で必要なモーメントが要求される影響で、入院時に獲得できず、在宅に変えるにあたって二階に上れない、屋外歩行で階段が上れないなどの問題が出現しています。
しかしながら在宅に帰るにあたり段差昇降の獲得は必須です。
その段差の昇降の獲得には上下移動動作が必要になります。
上下移動動作とは、立ち上がり・床からの立ち上がり・立位・歩行・段差昇降・階段昇降動作という動作が必要になります。
これらの獲得に必要な要素を本セミナーでは学びます。
階段昇降に必要なのは立ち上がり動作
立ち上がり動作には、床からの立ち上がり、椅子からの立ち上がりなど、
様々な環境下での抗重力伸展活動が求められます。
その時に必要な筋としては殿筋群や四頭筋、下腿三頭筋や前脛骨筋などの筋出力が必要になります。
重要なのは、体重の前進を支えるための安定した基盤を作らなければいけません。
その基盤づくりに必要なのは、床上での動きや肩甲帯の動きなどにも着目していかなければいけません。
階段昇降の獲得には、立ち上がりだけではなく、様々な要素が必要になることを理解していかなければいけません。
本セミナーでは階段昇降の獲得について必要なリハビリの進め方を学んでいただきます。
プログラム
1.立ち上がり動作
〇立ち上がりのための体幹の準備(円背の改善)
〇立ち上がりのための下肢の準備
〇肩甲帯・上肢・下部体幹・骨盤・大腿部からの誘導による立ち上がり動作
2.床からの立ち上がり動作
〇両肩甲帯からの操作で両膝立て座位から横座りへ誘導し、両側骨盤から四つ這いへの誘導
〇両肩甲帯からの操作で両膝立て座位から四つ這いへの誘導
〇両肩甲帯の操作で長座位からの立ち上がり
〇両側骨盤からの操作で長座位からの立ち上がり
3.立位動作
〇立位で膝関節を屈曲させる動作:スクワット1、2、3
〇立位での骨盤側方移動
〇骨盤から操作する股関節回旋
〇大腿を保持して骨盤より股関節を回旋する
〇立位での足関節内反と足指屈曲の治療
〇後方ステップ
4.歩行動作
〇肩甲帯・上肢・下部体幹・骨盤より前方ステップする。
〇麻痺側上肢から側方ステップの誘導
〇大腿部から前方・後方ステップを誘導する
〇下腿より前方ステップを誘導する
5.段差昇降動作
〇台に上がる
〇台に上がり、下りる
6.階段昇降動作
〇階段昇降の歩行周期
1)荷重の受け継ぎ
2)単下肢支持
3)遊脚下肢の前進
〇階段を上る
〇階段を下りる