脳卒中の異常歩行の特徴に対する評価とリハビリ#554
大森 崇史 先生
ホワイトデール / 理学療法士(保健学修士)
歩行動作の獲得が上手くいかない?あなたの運動療法を見直す機会です
高草木先生は「身体図式(Body Schema)は運動発現の基盤である」と述べています。
身体図式は視覚・前庭覚・体性感覚を統合することで、後頭葉で形成されます。
その後、運動計画のため、脳の運動前領域に送られ、運動の発現に利用されます。
しかし、脳卒中片麻痺になると、麻痺側での感覚入力・理解力の低下や非麻痺側の過活動が起こることによって、
健康な頃と比べて身体図式にゆがみが生じる様になります。
加えて、発症後、身体が動かなくなったことで生じる筋力・体力低下は、
患者様が抱える大きな問題の1つです。
患者様は発症後、機能低下を防ぐべく、早期離床を促されます。
その中で自分の残された身体機能・能力を、環境に適応させようと試行錯誤されます。
結果、患者様はゆがんだ身体図式を基に、残された身体機能・能力を環境に適応させ、
動作を獲得する努力をされます。
ですので、その過程は正常運動発達の学習過程とは異なります。
つまり、修正を加えながら、適切な運動経験を積まなければ、連合反応や非効率的な動作の獲得、
さらには関節痛等の二次的障害へのリスクにつながります。
また動作がうまくできなければ、失敗を繰り返すことで、
モチベーションの低下といった精神・心理面においても問題を抱えることになります。
では理学療法士・作業療法士のあなたは、
どのようにリハビリテーションを進めていくといいのでしょうか?
「どういった問題点を患者様が抱えているのか理解すること」を前提として
-感覚入力のゆがみを是正し
-好ましい身体図式の形成を促しながら
-残された機能・能力を効率よく利用できるよう
-動作を繰り返し経験し、学習することです。
同時に、治療肢位、指示の入れ方、高次脳機能障害等へ気を配りながら、
好ましい運動が学習できる環境にも配慮が必要だと考えます。
本エポックセミナーでは、
脳血管疾患の臥位姿勢から立位姿勢における各姿勢の中でどのような評価が必要か、
どのようにプログラムを立案していくか、実技を交えて学んでいただきます。
治療実技も合わせてご講義いただきますので
理学療法士・作業療法士にとって運動療法を見直す良い機会になると思います。
