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エビデンスに基づく脳卒中患者の最新ニューロリハビリテーション~電気刺激によるニューロモデュレーションを中心に~#40

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生野 公貴 先生

理学療法士 / 西大和リハビリテーション病院 主任

 

概要


近年、神経科学に基づくリハビリテーションの重要性が説かれ、脳卒中リハビリテーションにおいて様々なアプローチが台頭してきている。
Langhorneら(2011)のシステマティックレビューによると、既知のエビデンスに基づき脳卒中後発症早期では早期離床と機能障害の改善、回復期では適応学習や代償戦略を含む課題指向型練習,フィットネスやADLの拡大、維持期では身体機能の維持とQOLのモニタリングが重要であるという治療戦略モデルが提示されている。

このモデルからも読み取れるように、脳卒中リハビリテーションにおける重要事項として、“練習量”,“環境”,“文脈”の3点が挙げられる。これらは脳卒中後運動回復において可塑性変化を促進するために考慮すべき重要な因子である。
Krakauerら(2012)による動物実験や臨床研究を基にして今後の方向性を示した文献レビューでは、脳卒中後3か月以内に機能障害の回復を目的にした治療のエビデンスが乏しく、自然回復や従来の治療以上の効果がある新規の学習プログラムや非侵襲的脳刺激を含む新たな介入を模索していく必要があると述べている。

我々は、脳卒中リハビリテーションの発展のために前述の3つの因子を考慮しながら、既知のエビデンスを理解し、臨床応用し、新たなエビデンスを作っていく必要がある。

神経可塑性を誘導する方法として電気刺激によるニューロモデュレーションがある。近年の神経科学の進歩により、臨床効果のみならずその可塑性変化まで言及した研究報告が数多くみられるようになり、電気刺激が再び着目されるようになってきている。現在、電気刺激療法は単純な神経再教育として用いられるのではなく、長時間感覚刺激を実施しながら課題練習を実施する、または機能的電気刺激を用いて麻痺肢の機能を補いながら日常生活で実際に使用しながら練習していくなど様々な方法で実施されている。

電気刺激は物理療法として我々理学療法士が実施可能な治療法であり、運動療法と併用することでさらなる可塑性変化を促進できる可能性があることから,これら電気刺激の活用は脳卒中リハビリテーションにおける理学療法士の重要な役割と考えられる。本セミナーでは脳卒中後運動障害に対するリハビリテーションの動向をレビューし、電気刺激を用いた機能回復の促進方法について実技を交えながら解説する。

プログラム


1. 脳卒中後機能回復のメカニズムと可塑性変化
・脳卒中後機能回復のメカニズム
・可塑性変化のメカニズム
・ニューロリハビリテーションにおける重要項目とは
2. 脳卒中リハビリテーションのEvidenced-based practice
・EBMについて
・脳卒中リハビリテーションの上肢運動障害における臨床研究レビュー
・脳卒中リハビリテーションの下肢運動障害における臨床研究レビュー
・非侵襲的脳刺激等による可塑性誘導に関する研究の紹介
3. 脳卒中リハビリテーションにおける電気刺激の臨床応用
・電気刺激療法総論
・神経筋再教育としての神経筋電気刺激NMESの実際
・機能的電気刺激FESや治療的電気刺激TESの紹介
・実技