歩行動作における上肢の動きは人間発達学的に考える必要がある理由とは?

歩行動作における上肢機能は、全身のバランスを保つ上で非常に重要な役割を果たしています。

歩行中、腕は自然に前後に振られ、その動きが下肢の動きと連動することで、身体の重心移動を助け、安定した歩行を可能にします。

 

特に、腕を振る動作によって体幹の回旋運動が促されることで、歩行のリズムが整い、効率的かつ滑らかな移動が実現します。

逆に、上肢の動きが不十分であったり、左右差が大きかったりすると、体幹の動きに偏りが生じ、歩行のバランスが乱れる要因にもなり得ます。

 

こうした機能を獲得・維持するためには、単に歩行動作を繰り返すだけでなく、歩行とは異なる状況でも上肢の可動域や筋力、協調性などを評価し、必要に応じてトレーニングを行うことが求められます。

たとえば、肩や肩甲帯の柔軟性を高めるストレッチ、体幹と連動した上肢のリズム運動、または日常動作における腕の使い方の見直しなどが挙げられます。

今日は、こうした視点から、上肢機能の重要性とそのトレーニング方法について考えてみたいと思います。

 

歩行動作における上肢機能の役割とは?

歩行における上肢機能の役割は、一見すると直接的ではないように思えますが、

実際には非常に重要な役割を担います。

上肢は歩行時のバランス維持、リズムの調整、動力の提供という重要な役割を果たしています。

 

ですが、上肢の動きは姿勢維持や歩行動作における不安定性を増強させてしまうため、

脳血管疾患などの様々な病態においては、その動きを制限してしまいます。

 

しかしながら、こうした上肢の動きを獲得することで、ヒトは効率的な動きを獲得することができます。

そのためには寝返りや座位練習において、上肢の動きを徹底的に評価していく必要があるのです。

 

例えば寝返り動作における上肢の役割とは何でしょうか?

上肢を挙上したり、腕を振ったりする能力は重心位置の変化に伴い

動作がしやすい環境を自然と作るという機能に寄与します。

こうした身体の働きを理解することが歩行動作における上肢機能を考えることに繋がるのです。

 

高齢になると上肢を動かさない人が増える理由とは?

歩行時に上肢をうまく振れないのは、脳血管疾患を患った方だけに限りません。

実際に、高齢の方の中にも、腕をほとんど振らずに歩いている方は多く見受けられます。

 

では、なぜそのような歩き方になるのでしょうか。

 

上肢を振ることで、本来は歩行中に重心が前後左右に自然に移動し、バランスを取りながら効率的に歩くことができます。

しかし、高齢者の場合、この重心の移動を支えきれず、体がふらついてしまうことを避けるために、無意識に腕の振りを抑えて歩く傾向があります。

このような問題は、病院で入院している患者様であれば、理学療法士や作業療法士が適切に評価を行い、重心移動をコントロールできるようにリハビリを進めることができます。

 

しかし、在宅で過ごされる高齢者の場合、こうした細かな歩行の問題に気づかれず、十分な対応がされないまま生活されているケースが少なくありません。

だからこそ、私たち医療従事者は、病院にいる間にしっかりと上肢の振りを含めた歩行の安定性を評価し、必要な訓練を提供しておくことがとても重要です。

退院後に自宅で歩こうとしたときに、腕を振れずにバランスを崩して転倒するという状況を防ぐためにも、入院中からの適切なリハビリの積み重ねが大切なのではないでしょうか?

 

歩行練習の中で上肢の動きを促すために必要なトレーニングとは?

歩行中に自然に手を振るためには、肩関節や肩甲帯の柔軟性、筋力、そして体幹との協調性が重要です。

そのため、まずは肩回りのストレッチを行い、可動域を確保することが大切です。

特に肩甲骨の動きを引き出すエクササイズや、肩甲骨周囲筋(僧帽筋、菱形筋など)の柔軟性を高める運動が効果的です。

 

また、手を振る動作は体幹の回旋と連動するため、体幹の安定性と柔軟性を高めるトレーニングも必要です。

例えば、ツイスト運動や、リズムに合わせた上肢の振り運動などが挙げられます。さらに、左右差がないかを確認し、バランスの取れた動きを意識することも重要です。

このようなトレーニングを通じて、歩行中の自然な手の振りを獲得し、全身の安定した動きにつなげることができます。

 

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①歩行時の上肢振りや重心移動など、見落としがちな評価ポイントを学び、臨床での観察力が向上する。

②在宅生活を見据えたリハビリの進め方を理解でき、退院後の転倒リスクを減らす指導ができるようになる。

③最新の知識や具体的なアプローチ方法を知ることで、自信を持って患者様に効果的な支援が行えるようになる。

 

もしあなたがこうした動きについて考えていきたいと思っているのであれば、ぜひこちらのセミナーをおすすめします。

 

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講師:今村 泰丈 先生

Studio-Roots-MORIOKA代表 / 作業療法士

 

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