嚥下機能評価は理学療法士や作業療法士も興味を持つべき理由とは?

嚥下機能の評価は言語聴覚士の専門領域と捉えられがちですが、

近年では理学療法士や作業療法士にも嚥下に関わる視点が強く求められるようになってきました。

特に回復期病棟では、食事場面での動作観察や嚥下時の姿勢、体幹・頸部のアライメントを丁寧に確認することが指導される機会が増えています。

さらに訪問リハビリの現場では、言語聴覚士が常に関与できるとは限らず、理学療法士や作業療法士自身が嚥下機能を評価し、医師や看護師と連携しながら食形態や食事環境を調整する場面も少なくありません。

その背景には、誤嚥性肺炎を未然に防ぐという重要な目的があります。

誤嚥性肺炎は、食物や水分、唾液などが誤って気道内へ侵入することで発症し、高齢者や基礎疾患を有する患者にとっては生命予後を左右する重大な合併症です。

だからこそ、リハビリ専門職も嚥下そのものだけでなく、姿勢制御や呼吸、全身機能との関連を含めて評価し、チーム医療の一員として予防に積極的に関与することが求められています。

本稿では、理学療法士・作業療法士がどのような視点で嚥下機能を捉えるべきかについて解説していきます。

なぜ高齢者に誤嚥する人が多いのか?

高齢者が誤嚥しやすくなる背景には、加齢に伴う身体機能と感覚機能の低下が大きく関与しています。

まず、咀嚼や嚥下に関わる口腔・咽頭周囲筋の筋力低下により、

食塊を十分に形成・送り込むことが難しくなります。

また、舌や喉頭の動きが遅くなることで、嚥下のタイミングがずれやすくなり、気道防御が不十分になります。

さらに、咽頭や喉頭の感覚低下により、食物や唾液が気道に侵入しても咳反射が起こりにくく、誤嚥に気づかない「不顕性誤嚥」を生じやすくなります。

加えて、姿勢の崩れや頸部可動性の低下、認知機能低下、全身の活動量低下なども嚥下機能に影響します。

これら複数の要因が重なり合うことで、高齢者は誤嚥リスクが高まるのです。


嚥下機能の評価は口腔機能や喉だけではない

嚥下機能の評価というと、口腔機能や喉の状態をチェックすることが中心だと考えるセラピストは少なくありません。

しかし実際には、嚥下は口や喉だけで決まるものではなく、姿勢も大きく影響します

 

例えば、風邪をひいたときにベッドの横にペットボトルを置いて寝た経験はありませんか?

「寝たまま飲めたらどれだけ楽だろう」と思ったことがある方も多いでしょう。

 

ところが、仰向けのまま水分を飲もうとすると非常に難しく、むせたり誤嚥する危険があります。結局は横を向いて飲むか、体を起こして飲むかを選ぶことになるはずです

 

このような経験は、嚥下にとって姿勢がいかに重要であるかを示しています。

座位で安定した体幹を保てるか、首の角度をどう調整するかなど、

姿勢の違いによって嚥下の安全性は大きく変わります。

 

したがって嚥下機能の評価では、口腔機能や喉の動きだけでなく、姿勢を含めた全体像を観察することが欠かせません。

セラピストはこの視点を持つことで、誤嚥のリスクを減らし、より安全な食事支援につなげることができるのです。

 

なぜ誤嚥性肺炎の予防に理学療法士も関わるべきなのか

誤嚥性肺炎は高齢者や神経筋障害、嚥下障害、リハビリが必要な患者にとって、致命的な合併症となり得ます。

誤嚥によって肺に異物が入ることで、感染症を引き起こし、呼吸不全を引き起こす可能性があります。

これは生活の質の低下や入院期間の延長につながり、医療負担を増加させます。

 

理学療法士は主に運動機能の回復と向上に焦点を当てた専門家として知られていますが、我々の役割はそれだけに留まりません。

誤嚥性肺炎予防においても理学療法士は重要な役割を果たします。

 

嚥下機能は口腔機能だけでなく、嚥下に関わる姿勢も誤嚥性肺炎のリスクを高めるといっても過言ではありません。

 

もしあなたが今、リハ室でこれを読んでいるならベッドで背臥位になって水を飲んでみてください。おそらく飲み込みにくいと思います。

こうした状況を病院だけでなく自宅や施設で評価することは理学療法士にも必要な技術です。

もしあなたが嚥下機能の評価に興味があるのであればこちらのセミナーをチェックしてみてください。

 

理学療法士・作業療法士が覚えておくべき嚥下機能評価と誤嚥性肺炎予防の基本

 

 

講師:乾 亮介 先生

リハティスプラス 代表 / 理学療法士

※その他略歴はこちら

 

 

 

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