座位から立ち上がって歩くまでに重要な重心移動の考え方とは?

支持基底面の広い姿勢において、どのように重心を移動させるか。

基本動作のリハビリにおいてここを考えることはとても重要です。

我々の動作は、いかに重心を安定した位置において姿勢を保つか、動作を行うかということに集約されるように思います。

特に歩行動作を獲得するうえで座位での重心移動や安定性を獲得することは

至上命題であるといっても過言ではありません。

 

しかしながら座位姿勢において考えるべきことがまだまだ考えられていないのではないか、最近つくづくそう思います。

そのために考えるべき必要なことは何でしょうか?

今日はその内容について考えてみたいと思います。

 

座位から立ち上がって歩くまでに必要な重心移動について考えてみる

我々理学療法士や作業療法士は椅子から立ち上がり、

歩行動作練習を積極的にリハビリとして提供することが多いと思います。

その時に椅子から立ち上がる動作がなかなか難しいなと感じる方もおられると思います。

 

私自身も座位姿勢でのリハビリはとても難しいと感じます。

なぜなら重心を高い位置に持ち上げることでより不安定な姿勢に位置させるため、

利用者様の恐怖感がここで一気に増加してしまい、

動作の制限に繋がってしまうと感じているからです。

 

その時に我々理学療法士・作業療法士はどのようなことを考えて治療をしていけばいいのでしょうか?

逆に先輩セラピストはどのようなことを考えてリハビリをしているのでしょうか?

 

座位姿勢というのは抗重力伸展活動において一番支持基底面内の広い姿勢と言えます。

この状態でうまく重心を支持基底面内で動かすことができなければ

立位姿勢においてもうまく重心をコントロールすることはできないといっても過言ではないのではないでしょうか?

 

座位姿勢で重心を自由にコントロールすることが重要

重心のコントロールと聞くと、麻痺側下肢への荷重というイメージをされる方もおられると思います。

そのため前後左右へ自由に動かすことができると歩行においても安定していると捉える人がいますがそれは違います。

 

もう少し三次元的に考えてみましょう。

 

確かに前後左右への移動はとても大切。

そこに上下左右の重心移動というものも入れてみてください。

 

例えば床に手を伸ばすということを考えると重心は下に下がりますし、

ボールを投げるときには脊椎は伸展して背筋は伸びます。

このときしっかり重心は上に上がるようになります。

 

こうした重心の移動を考えることも、座位姿勢においては重要になるのではないでしょうか?

歩行動作を考えるうえで立位でのバランス練習は欠かせない

座位から立ち上がる際に、足部への荷重がうまくいかず苦戦する患者様に出会ったことはありませんか?

これは、安定した座位という広い支持基底面から、足部という狭い支持基底面へと重心を移行させる必要があるためで、

重心コントロールの難易度が一段と高くなるためです。

座位での抗重力伸展活動よりもさらに高度な運動制御が求められる動作と言えるでしょう。


しかし臨床では、早期離床や歩行自立を目指すあまり、

座位姿勢や床上動作の安定性が十分に確保されないまま、

立ち上がりや歩行練習へと移行してしまうケースも少なくありません。

 

発達過程を振り返ると、子どもは四つ這いや高這いなどの段階を経て、

頭頚部や上肢の抗重力活動を獲得しながら、徐々に立ち上がり動作を身につけていきます。

こうした発達の流れは、成人や高齢者のリハビリにも応用できる大切な視点です。

ぜひ一度こうしたことを考えながらリハビリを考察してみてくださいね。

 

PT・OTのための脳卒中片麻痺における動作分析とリハビリ戦略|座位~立ち上がり編

講師:弓岡 光徳 先生

 

 

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