作業療法士に必要な上肢の前方リーチ動作はこう考えよう

日常生活の中で、手を伸ばすという機会はとても多いはず。

  • 食事をする
  • 文字を書く
  • 物を取る

といった日常生活動作において、こうした前方リーチをする場面は多いです。

その時に考えるべきは上肢の動きだけでなく、

体幹や下肢の支持性についても考えていく必要があります。

 

その理由について説明できますか?

前方リーチと把持能力を考えるには全体を俯瞰して考えよう

 

把持動作とは、目と手の協調性について着目する必要があります。

自分の体と物体との距離感を図り、

その対象物に手を伸ばすことや対象物をつかむときの

手の協調的な働きについて考える必要があります。

 

そこには感覚入力だけでなく

知覚や認知、活動など複合的に考える必要があります。

脳卒中片麻痺のリハビリにおいて、

環境の中で効果的に行動する能力を獲得するためには、

このリーチ動作と把持動作の獲得が必要不可欠になります。

 

脳卒中片麻痺患者様の更衣動作のリハビリの進め方とは?

脳卒中片麻痺患者様の更衣動作は麻痺側上肢の袖をを通して、次に健側上肢へ、という流れで服を着る方法を指導すると思います。

しかしながらその際の座位バランスや上肢のリーチ動作など、

我々理学療法士や作業療法士は様々なことを考えてアプローチを検討していかなければなりません。

 

特に健側上肢の動きに関しては、対側へのリーチに加え、頭部後方への挙上や体の後ろへのリーチ動作などかなり大きな課題を要求されるため、

脳卒中片麻痺患者様の日常生活動作においてとても高度な動作としても有名だからこそ、こうした考え方も重要になります。

 

脳卒中片麻痺患者様の更衣動作は踵接地まで考えよう

脳卒中片麻痺患者様の更衣動作には、安定した座位姿勢の獲得に加え、

その安定した座位保持の中で、健側上肢を自由に動かせる能力が求められます。

 

この健側上肢の動きについては前述したように対側へのリーチ動作や頭部後方へのリーチ動作、体幹後方へのリーチ動作など様々な動きを要求されるため、

その際の重心移動の偏移を支えるだけの安定した座位保持能力が重要ですし、

特に頭頚部の回旋や側屈の動きをきちんと確保しておくことが求められます。

 

こうした更衣動作は手順を伝えることにとどまってしまい、

実際のところ日常生活の中で患者様が自立に至らないという状況はよく目にします。

理学療法士や作業療法士が食事動作の獲得で覚えておくべきこととは?

脳卒中片麻痺患者様の食事場面において、上肢を空中に保持した状態で前方へリーチを行うという行為はとても重要な動きになります。

我々が普段何気なくやっている行為ではありますが、実はこれを細分化すると、座位保持における踵への荷重がしっかりできているかどうかまでチェックすることがとても重要になります。

なぜ踵?という疑問が出る方もおられると思います。

例えば今あなたがこれをもし椅子に座ってみているのであれば、背中を離して前に手を伸ばしてみてほしいです。

そうすると体は前方に移動し、その際に重心の移動が起こります。

おそらくその重心を大腿後面で支えることになるでしょう。その時に股関節の伸展が出現しますので、前脛骨筋の収縮も出てくるはずです。

こうしたことが作用して下肢の荷重が起こるので、踵や足底面がきちんと設置しているということはとても重要な要素になります。

 

もちろんその際の上肢を挙上させるための体幹や頭頚部の評価も重要ですが、こうしたところまできちんと評価できるかどうかはとても重要になります。

考えることがいっぱいあって難しいでしょうか?

ですがこうしたことを一つ一つ細分化し、どこからアプローチを進めていくかを考えることが重要なのです。

 

こうした能力を考える機会がエポックセミナーにはあります。

 

2024年11月28日(第四木曜日)20:00~21:30【オンライン開催】


理学療法士・作業療法士のための脳卒中片麻痺の上肢機能評価とADL練習法|食事動作の獲得(箸動作)

講師:北山 哲也 先生

森山脳神経センター病院 / 理学療法士 / IBITA / JBITA Bobath Basic Course Instructor