脳血管疾患のリハビリで脳画像を評価すべき理由とは?
臨床では様々な脳血管疾患を担当する機会があると思います。
こうした疾患を担当した場合、どのような症状が出現するかあなたは理解できていますか?
これらの疾患は、その発生メカニズムや症状に大きな違いがあります。
どこでどのような問題が出現しており、どのような症状が現れるのかを
きちんと理解することが、脳血管疾患のリハビリを進めるうえで重要なことです。
本記事では、その理由について説明します。
脳画像を評価することで事前に症状を推測しよう
例えば慢性硬膜下血腫は脳と硬膜の間に血液がたまる状態を指します。
この血液のたまりは、数週間から数ヶ月かけてゆっくりと形成されるため、「慢性」と呼ばれます。
主な原因は、軽度の頭部外傷や高齢者に多い脳の萎縮によるものです。
症状としては
- 頭痛
- 意識障害
- 記憶障害
- 運動障害(特に片側の手足の麻痺)
- 性格の変化
といった症状が出現しやすいと言われています。
こうした症状はリハビリにおいても事前に知っているかどうかで対処法が変わります。
診断にはCTスキャンやMRIが用いられ、これにより血腫の位置や大きさを確認します。
どこにどのような血種が出現しており、どの部位を圧迫してしまっているのか、
その部位がどのような機能を担っており、どのような症状が出現するのか。
その経過をチェックするためにも定期的に画像診断は行われています。
こうした症状のチェックをするうえでも我々セラピストは、
医師と話をするうえでも画像の見方はチェックできるようにしておくべきではないでしょうか?
脳画像のCTとMRIの違いとは?
まず、CTとMRIの違いについてはどのような違いがあるのでしょうか?
CTもMRIも脳血管疾患の評価に利用されますが、それぞれ見ているものが異なります。
まずCTは放射線であるX線を利用しており、骨は白く、空気は黒くみられます。
また撮影時間が比較的短く簡単に取ることができ、頭部急変における出血の疑いなどを早期に確認することができます。
次にMRIは磁気の共鳴によって脳の断層像を確認することができ、
こちらは被爆のリスクがありません。
また特に組織間のコントラストを明瞭に見ることができますので、
脳梗塞などどの範囲が虚血状態なのかを明瞭に見分けることができます。
しかしながら撮影時間が長いことや磁気共鳴によって撮影されるためペースメーカーなどを入れておられる方や体内に金属が入っている方は撮影することができないというデメリットがあるのです。
臨床の中でよく見る画像だからこそ、こうした情報はチェックしておきたいですよね。
セラピストも脳画像を評価すべき理由とは?
レントゲンや脳画像は医師がチェックをするもの。
という認識を持つセラピストは少なくありません。
実際のところ学校で学んでいないことも多く、我々は脳画像をきちんと評価できるとは言えません。
しかしながら、だからといって脳画像を評価しなくていいということにはなりません。
我々は患者様の症状を推測し、予後を推測し、どのような環境でどのようなリハビリを提供していくべきかを考えるべきです。
そのためには脳画像を評価し、どのような場所に問題が出現しているのか、
そこが問題になることでどのような症状が出現するのかを
きちんと理解していくことが脳血管疾患のリハビリにおいて重要になります。
もしあなたが脳血管疾患のリハビリを進めていくうえで悩んでいるのであれば
ぜひチェックしてみてください。
講師:田岡 知代 先生
おさか脳神経外科病院 / 理学療法士 / 香川県理学療法士会 理事
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