脳卒中片麻痺患者様の日常生活動作を考えてみよう

家事を自分で行うことは、一人暮らしの方にとっては日常的なことですが、家族と暮らしている方はその機会が少ないかもしれません。

しかし、家事を行う際に必要な筋力やバランス感覚に気づくことが多いです。

 

例えば、洗濯物をかごから取り出して運んだり、干す際に腕を持ち上げたりする動作は、思っている以上に身体に負担がかかります。

重い洗濯物を持ち上げると、ふらついたり、片手で作業することで姿勢が崩れることがあります。

 

脳卒中後の片麻痺患者様が自宅で家事を行う際も、同様に多くの困難が伴います。

片麻痺のある方にとって、片手で物を持ち上げたり、重さを調整したりすることは非常に難しいため、動作を行う際には十分な注意が必要です。

リハビリの視点からは、家事動作を安全に行うために、片麻痺の側を補助する道具の使用や、動作を細かく分けて行うことが推奨されます。

こうしたリハビリの視点から注意すべきポイントについて一緒に考えてみたいと思います。

 

脳卒中片麻痺患者様の家事動作で難しいと感じられることとは?

脳卒中片麻痺患者様の家事動作において、洗濯物干しはとても難しいと感じられることは多いと思います。

水を吸った重たい洗濯物を、頭の高さよりも高いところに持ち上げなければいけないということも少なくなく、

こうした前方や上方へのリーチ動作はとても重要になります。

 

例えばバスタオル一枚の重さを考えてみてください。

水を吸ったバスタオルって何グラムくらいあると思いますか?

一般的なバスタオルで脱水後の重さは約500gと言われています。

これを頭上まで持ち上げるとなると結構な重さになると思いませんか?

より吸水力の高いバスタオルであれば、もっと重たくなってもおかしくはありません。

 

上方にリーチ動作を行うと、頭頚部の伸展や脊椎の伸展動作が働くため

後方への重心移動が起こります。

そのため後方へのバランスを崩すという方も少なくありません。

 

こうしたバランス能力の獲得はとても大切になり日常生活動作はより困難を極めるといっても過言ではありません。

家事動作を考えることはこうしたバランス能力をきちんと評価する必要があるのですね。

 

脳卒中片麻痺患者様のADL練習を認知神経リハの概念を用いて考える|食事動作編

 

講師:生野 達也 先生

動きのコツ研究所 所長 / 理学療法士

※その他略歴はこちら