患者様のADL能力は情動によって左右される理由とは?
なたは一定のパフォーマンスを維持することはできますか?
私は難しいです。
人間は日々様々な思いに支配されています。
どうしても、自分の感情に左右されることはとても多く
高校野球をやっていた時は特にそれが顕著でした。
調子のいい時もあれば、調子の悪いことも多々ある。
また、新しいことを始めようとすると、苦手意識を持ってしまっていたりと
新しい環境や物事に対する動きが遅かったりすることは多々ありました。
これは入院されている患者様も同様に考えられます。
自分の身体の環境が変わり、日常生活においても変化が生じている。
様々な感情で、急激で一時的なものによってパフォーマンスは変化します。
これを情動と言い、ここを理解することが患者様のパフォーマンスにも影響します。
今日はこうしたことについて考えてみたいと思います。
情動系とはいったい何か?
情動系は、脳の中で感情に関わる重要な神経回路の総称です。
脳科学の分野では辺縁系と呼ばれる領域と深く関係しており、特に扁桃体、海馬、視床下部などが主要な構成要素です。
まず、扁桃体は恐怖や怒りなどの原始的な感情の処理に深く関与します。
危険な刺激に対して素早く反応する働きがあり、闘争か逃走かの判断を下す中心的な役割を果たします。
扁桃体の活動が過剰だと、不安障害やパニック障害の一因にもなると考えられています。
海馬は記憶の形成に関わる部位ですが、情動体験と記憶が結びつく上で重要です。
たとえば怖かった体験を鮮明に覚えているのは、扁桃体と海馬が連携して働くからです。
視床下部は、自律神経やホルモン系を介して、身体的な反応(心拍数の上昇、発汗、瞳孔拡大など)を制御します。
感情の変化が身体に現れるのは、この視床下部の働きによります。
さらに、前頭前野という理性的な判断を司る部位が情動系と密接に結びついており、
感情を抑える、理性で感情を制御する際に重要な働きをしているのです。
患者様のADL動作を考えるうえで情動系を理解しよう
ご入院されておられる患者様は、様々な感情が渦巻いています。
その中において、早期離床、早期歩行を求められ
自分の感情を抜きにしてリハビリを行わなければいけないということは往々にしてあります。
なぜならご入院される前の自分の身体と
入院してからの自分の身体では、
患者自身の身体の変化に伴う
「動作イメージと実際の動きの違い」
が圧倒的に変わるからです。
例えばあなたが今までスポーツをしてきたとしましょう。
でもあることがきっかけでスポーツが何もできなくなったとしたら
あなたはどんな感情が渦巻きますか?
こうしたことを理解し、どのような言葉かけをすべきか
どのような動作指導を行うか
これが特に重要になるといっても過言ではありません。
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講師:冨田 昌夫 先生
びわこリハビリテーション専門職大学
理学療法学科 教授