終末期がん患者様に寄り添うために我々医療従事者が考えるべきこととは?

がん患者様への関わり方やリハビリテーションは、とても難しい分野だと感じている方も多いのではないでしょうか。

身体機能だけでなく、心理面や人生観にも深く関わるため、教科書通りにはいかない場面が少なくありません。

私自身、初めて勤務した病院にホスピス病棟があり、がん患者様を担当させていただいた経験があります。

その当時は「この関わりで本当に良いのだろうか」「自分にできることは何なのか」と、答えの出ない葛藤を抱えながら日々向き合っていました。

それから年月が経ち、今度は自分の家族にがんが見つかり、手術に至るまでの過程を身近で支える立場となりました。

医療者としてだけでなく、一人の家族として関わる中で、がんと向き合うことの重みや難しさを改めて強く実感しています。

臨床で感じていた戸惑いや迷いは、決して特別なものではなく、誰もが抱きうるものなのだと、今はそう感じています。

今日はこうしたお話をさせていただきます。

終末期のがん治療の副作用に伴う精神的なもの以外の影響とは?

抗がん剤治療の特徴的な副作用としては、吐き気や嘔吐、脱毛や疲労感、食欲不振など様々な症状が出てくるという話は聞いたことがあると思います。

それに加えて、精神的な影響があるという知識は今まで持ってはいました。

しかしながら自分自身の身内がいざなるとなった場合、今までの多くの思い出や、今後の不安といったものが本人だけでなく、周りにも影響を及ぼすのだなとつくづく痛感しています。

 

こうしたネガティブな影響は家族にも伝搬し、なかなかメンタル面での浮き沈みが激しいのだなと感じている次第です。

もしあなたががん患者様のリハビリを担当する機会があるなら、ぜひこうした感情もくみ取りながら、リハビリを担当してみてはいかがでしょうか?

終末期のがん患者様の苦しみと葛藤に寄り添う努力の難しさとは

がん患者様のリハビリを担当するということは、患者様の最後まで寄り添うということだと私は感じています。

今まで担当してきた患者様も様々な葛藤を私に話してくださいました。

もちろん、話す内容は厳選されていたと思いますが、時には感情を伝えてくださる方もおられました。

 

こうした患者様の苦悩や葛藤と共に、寄り添っていくべきだなと割り切って対応してきました。

しかし家族にそれが見つかったとなっては、自分自身冷静でいられなかった部分もありました。

そうした意味では、今までのかかわりはどこか他人行儀だったんだなと痛感しています。

 

疼痛や呼吸困難、全身倦怠感の影響によりリハビリテーションどころではないという場面にも遭遇します。そして家族だからこそ、それをストレートに伝えてくれるのです。

今まで自分のかかわりは本当に正しかったのかと考えさせられました。

まだまだこれから付き合っていくことになりますが、常に考え続けたいと思います。

 

終末期のがん患者様を担当するうえで覚えておきたいこと

がん患者様を担当する際に大切なのは、身体的な痛みや機能低下だけに目を向けるのではなく、心理的・社会的な側面も含めて包括的に支援していくことです。

がんという病気は、治療そのもののつらさだけでなく、家庭環境や仕事の問題、将来への不安など、さまざまな苦痛を伴います。

たとえば、治療による体力の低下で家事や育児が難しくなったり、休職による経済的不安を抱えたりする方も少なくありません。

こうした背景を理解せずに身体面だけを支援しても、患者様の本当の安心にはつながりにくいのです。

そのため、リハビリテーションを行う際には、患者様の生活全体を見据え、

「この方はいま、どんな悩みや不安を抱えているのか」

「どのような言葉がけが励ましになるのか」

といった視点を持つことが重要です。

身体的支援とともに、社会的・心理的な支援を意識した関わりこそが、真に患者様に寄り添うリハビリにつながります。

 

医療従事者向け緩和ケア領域のがん患者のリハビリの進め方|一括申込

講師:井上 順一朗先生

神戸大学医学部附属病院 国際がん医療・研究センター  理学療法士

 

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